3-A・3-B 核医学測定技術クエスト
北島先生からの挑戦状
動態測定法、2核種同時収集、心電図同期撮影、血液試料計測、RIAを総合演習。選択肢は毎回シャッフルされ、解答後に各選択肢の詳しい解説を確認できます。
収録問題数:51問(国家試験問題・確認問題・オリジナル問題)。Word資料の大切な部分を覚えられるよう、選択肢は毎回シャッフルされます。
事前学習:3-A・3-B 核医学測定技術
学習のゴール
この範囲は「薬剤名を覚える」だけではなく、検査が 静態収集 なのか、動態画像収集 なのか、2核種同時収集 なのか、心電図同期収集 なのかを選択肢から判定する力が重要です。さらに、RIAは用語が似ているため、何を標識するか、何を分離するか、何から標準曲線を作るか をセットで覚えます。
1.収集法・測定法の見分け方
| 収集法 | 見るもの | 代表例 | 国試での合図 |
| 静態収集 | 一定時間後の分布やROI比 | FDGのSUV、MIBGのH/M、イオフルパンのSBR、甲状腺摂取率、MAA右左シャント率、DMSA腎皮質像 | 「比」「摂取率」「一定時間後」「早期像・後期像」 |
| 動態画像収集 | 投与直後からの時間変化、時間放射能曲線 | GSAのLHL15/HH15、MAG3レノグラム、PMT肝胆道排泄、唾液腺排泄機能、ECD脳血流定量 | 「投与直後から」「時間放射能曲線」「排泄」「レノグラム」 |
| 心電図同期収集 | R波を基準に心周期を位相分割 | 心電図同期心筋SPECT、心電図同期マルチゲート法、EF・EDV・ESV | 「R波」「R-R間隔」「分割」「EF」「EDV」「ESV」 |
| 2核種同時収集 | 異なるエネルギーの2核種を同時に収集 | 123I製剤+201Tl、99mTc+201Tlなど | 「クロストーク」「TEW法」「光電ピーク分離」「半導体検出器」 |
| 試料計測・RIA | 体外に取り出した試料を測定 | RIA、赤血球寿命、血小板寿命、循環血漿量 | 「B/F分離」「標準曲線」「競合反応」「患者被ばくなし」 |
2.動態測定法
動態収集の本質
ダイナミック収集は、投与直後から短時間ごとに画像を連続収集し、臓器への流入・集積・排泄を時間放射能曲線として評価する方法です。「早期像と後期像を撮る」だけでは動態収集とは限りません。
| 薬剤・検査 | 動態で見る内容 | 静態検査との区別 |
| 99mTc-GSA | 血中から肝への移行、肝受容体への集積。LHL15、HH15など。 | SUVやH/Mのような単純なROI比ではなく、心臓・肝臓の時間変化を使う。 |
| 99mTc-MAG3 | 腎血流、尿細管分泌、腎盂・尿管への排泄。レノグラムを解析。 | DMSAは腎皮質の静態像。MAG3は腎動態。 |
| 99mTc-PMT | 肝への取り込みから胆道・腸管への排泄。 | GSAは肝受容体、PMTは肝胆道排泄。 |
| 99mTc-ECD定量 | 脳血流定量に関わる流入・分布を利用。 | 単なる脳SPECT分布像と、定量解析を分けて考える。 |
| 唾液腺シンチ | 集積後、刺激による排泄を時間放射能曲線で評価。 | 「排泄機能」が出たら動態を疑う。 |
動態ではない指標の代表
FDGのSUV、MIBGのH/M、イオフルパンのSBR、甲状腺摂取率、MAA右左シャント率は、一定時間後の画像やROI比・体外計測から求めることが多く、投与直後からの連続収集が必須とは限りません。
3.2核種同時収集法
2種類の放射性医薬品を同時期に投与し、異なるエネルギーウインドウで2種類の画像を得ます。利点は、同じ体位で収集できるため位置ずれが少ないことです。弱点は、散乱線やクロストークによって片方の核種のカウントがもう片方の画像に混入することです。
| 用語 | 意味 | 間違えやすい点 |
| クロストーク | 一方の核種の光子や散乱線が、他方のエネルギーウインドウに入る現象。 | 「クロスキャリブレーション」ではない。 |
| TEW法 | 主ウインドウの両側のサブウインドウから散乱線成分を推定して補正する方法。 | 2核種同時収集の散乱線低減で重要。 |
| 半導体検出器 | γ線を直接電気信号へ変換し、エネルギー分解能が良い。 | 光電ピーク分離に有利で、2核種同時収集と相性がよい。 |
| 組合せ | 123Iと201Tl、99mTcと201Tlなど。 | エネルギーが近い・散乱が多い場合は補正が重要。 |
4.心電図同期撮影法
心電図同期撮影では、R波をトリガにしてR-R間隔を8または16分割などに分けます。各位相で左室容積を求め、左室駆出率、拡張末期容量、収縮末期容量などを解析します。
| 項目 | 覚える内容 | ひっかけ |
| R波トリガ | R波を基準に心周期を分割する。 | P波をトリガにする、は誤り。 |
| R-R分割 | 通常は8分割や16分割など。 | 128分割、300分割などは標準的ではない。 |
| 分割数とSN比 | 分割数を増やすと1フレームのカウントは減る。 | 分割数が多いほどSN比が向上する、は誤り。 |
| 得られる指標 | EF、EDV、ESVなど。 | 通常の同期心筋SPECTだけで心筋血流量そのものを求めるとは考えない。 |
| 小心臓効果 | 左室容量が過小評価され、EFが過大評価されやすい。 | 小さな心臓では誤差が出にくい、は誤り。 |
5.血液試料計測とRIAの全体像
ここが難所です。
RIAは「患者に放射性医薬品を投与して画像を撮る検査」ではありません。体外に取り出した試料中のホルモンや腫瘍マーカーなどを、抗原抗体反応を使って測定するインビトロ検査です。そのため、患者への追加被ばくはありません。
| 血液試料の放射能計測が必要 | 主な理由 | 覚え方 |
| 赤血球寿命 | 標識赤血球の放射能変化を追う。 | 血液成分そのものを測る。 |
| 血小板寿命 | 標識血小板の体内動態・減少を評価する。 | 血液成分そのものを測る。 |
| 循環血漿量 | 血漿中の希釈・放射能濃度を利用する。 | 血液量・血漿量は試料計測。 |
| 左室駆出率 | 画像から心機能を解析する。 | 血液試料計測ではない。 |
| 甲状腺ヨウ素摂取率 | 甲状腺部の体外計測で求める。 | 採血試料の放射能計測ではない。 |
6.RIAの原理:競合反応
RIAでは、試料中の測定対象物質(非標識抗原)と、放射性核種で標識した抗原が、限られた量の抗体を取り合います。試料中の抗原が多いほど、標識抗原が抗体に結合しにくくなります。この「取り合い」が競合反応です。
| 用語 | 意味 | 国試での注意 |
| 抗原 | 測定対象となる物質。ホルモンや腫瘍マーカーなど。 | インスリン、CEA、AFP、TSHなどはRIAで問われやすい。 |
| 抗体 | 抗原と特異的に結合する物質。 | RIAは抗原抗体反応を利用する。 |
| 標識抗原 | 125Iなどで標識した既知量の抗原。 | 「標識抗体がRIAの基本」と決めつける選択肢に注意。 |
| 非標識抗原 | 患者試料中に含まれる測定対象物質。 | これが多いほど、標識抗原の結合は相対的に減る。 |
7.B/F分離:何を分けるのか
B/F分離とは、抗体に結合した成分 B(bound)と、結合していない遊離成分 F(free)を分ける操作です。RIAでは反応させただけでは濃度が求められないため、BまたはFの放射能を測定して標準曲線から未知濃度を読み取ります。
| 記号 | 意味 | 覚え方 |
| B:bound | 抗体と結合した標識抗原。 | Bound=結合。 |
| F:free | 抗体に結合していない遊離標識抗原。 | Free=遊離。 |
| B/F分離 | BとFを物理的または化学的に分ける。 | 「BとFを分ける」が最重要。 |
| 吸光分光法 | 光の吸収を測る方法。 | RIAのB/F分離法として出たら不適切。 |
8.RIAのB/F分離法
分離法は「BとFをどう分けるか」を問うところです。
RIAでは、抗原抗体反応のあとに、抗体に結合したB成分と、結合していないF成分を分けます。国家試験では、分離法の名前だけでなく、沈殿させるのか、固相に結合させるのか、吸着させるのかを区別できると選択肢を切りやすくなります。
| 分離法 | 何をしているか | 覚え方・注意点 |
| 二抗体法 | 一次抗体に結合した抗原抗体複合体を、第二抗体で沈殿させてB成分として分離する。 | 「抗体をさらに抗体で沈殿」と考える。RIAの代表的なB/F分離法。 |
| PEG法 | ポリエチレングリコールにより、抗原抗体複合体を沈殿させて分離する。 | PEG=沈殿を助ける、と整理する。遊離抗原をそのまま測る方法ではない。 |
| 固相法 | 抗体を試験管内壁やビーズなどの固相に固定し、洗浄によってF成分を除く。 | 固相にくっつけて、洗って分ける。操作が比較的簡便。 |
| デキストラン炭末法 | 遊離型Fを炭末に吸着させ、B成分と分ける。 | 炭末=吸着。Bを沈殿させる二抗体法とは仕組みが違う。 |
| イオン交換樹脂法 | 電荷の違いを利用してB成分とF成分を分離する。 | 「電荷・樹脂」がキーワード。すべてのRIAで第一選択という意味ではない。 |
| ゲル濾過法 | 分子の大きさの違いを利用して、結合型と遊離型を分ける。 | 大きさで分ける。吸光度を測る方法と混同しない。 |
試験での切り方
「二抗体法」「PEG法」「固相法」「デキストラン炭末法」などはB/F分離に関係します。一方、吸光分光法は光の吸収を測る方法であり、RIAのB/F分離法としては不適切です。分離法を聞かれたら、まず「BとFを物理的・化学的に分ける方法か」を確認します。
9.標準曲線:何から作るのか
標準曲線は、濃度が分かっている標準抗原を複数濃度用意し、それぞれで反応・B/F分離・放射能測定を行って作成します。未知試料は、その測定値を標準曲線に当てはめて濃度を求めます。
| 正しい理解 | 誤りやすい表現 |
| 既知濃度の標準抗原から標準曲線を作る。 | 既知濃度の抗体から標準曲線を作る。 |
| 測定ごと、または測定系ごとに標準曲線が重要。 | 標準曲線は不要である。 |
| 標準曲線を用いて未知試料濃度を求める。 | 画像上のROI比からRIA濃度を求める。 |
10.RIAで使う核種・検出器・測定対象
| 項目 | 正しい整理 | ひっかけ |
| 核種 | 125Iなど、比較的半減期が長くγ線を測定しやすい核種。 | 123Iを用いる、高エネルギーβ線を用いる、は誤り。 |
| 検出器 | ウェル型シンチレーションカウンタなどでγ線を測定する。 | 液体シンチレーションカウンタやLSOシンチレータが中心、は誤り。 |
| 患者被ばく | 体外試料測定なので患者への追加被ばくはない。 | 人体に投与して画像評価を行う、は誤り。 |
| 比放射能 | 微量物質の測定には高比放射能標識が有利。 | 被ばく低減のため比放射能を低くする、は誤り。 |
| 測定対象 | TSH、インスリン、CEA、AFPなど。 | 血清鉄はRIAの代表測定対象ではない。 |
11.RIAを一問で見抜く暗記セット
RIA=インビトロ・競合反応・125I・B/F分離・標準曲線・患者被ばくなし
この6語をセットで言えるようにすると、選択肢をかなり切りやすくなります。逆に「患者に投与」「画像評価」「123I」「高エネルギーβ線」「標準曲線不要」「B/F分離不要」は誤りとして出やすい表現です。